【胡蝶蘭の茎が黄色い原因】正しい対処法と2つの花茎の切り方を解説


茎が黄色くなってきたけどどうして?どうしたらいいのかな?
大切に育てている胡蝶蘭の茎が黄色く変色してくると、「このまま枯れてしまうのでは…」と心配になりますよね。
その胡蝶蘭の茎が黄色い状態は、もしかしたら茎が枯れたサインなのか、それとも病気で今後、茎が黒い状態や茎が白い状態になる前触れなのかもしれません。また、変色が茎だけでなく、葉が黄色くなる原因と同じものかどうかも気になるところです。
この記事では、胡蝶蘭の茎だけが黄色くなるさまざまな原因を突き止め、茶色い部分を切るべきかどうかの判断基準から、根本的な枯れる原因を取り除くための正しい育て方まで、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説していきます。
- 茎が黄色くなる原因の見分け方
- 症状別の対処法と手入れのポイント
- 枯らさないための正しい育て方の基本
- 二番花を咲かせるための花茎の切り方
胡蝶蘭の茎が黄色になる原因と見分け方

- まずは「茎」と「花茎」の違いを理解
- 花が終わって茎が枯れたのは自然な変化
- 病気のサイン?茎が黒い場合は要注意
- 茎が白いのは葉焼けや乾燥の可能性
- 茎だけでなく葉が黄色くなる原因とは
- 根腐れや凍傷など他の枯れる原因
まずは「茎」と「花茎」の違いを理解

胡蝶蘭の茎のトラブルについて考える前に、とても大切なポイントがあります。それは、「茎」と「花茎(かけい)」の違いを正しく理解することです。
一般的に「茎」と呼ばれがちな、花が咲いている細長い部分は、正しくは「花茎」と言います。一方で、胡蝶蘭の本来の「茎」は、葉の付け根にある太く短い部分を指します。この二つを混同してしまうと、対処法を間違える原因になるため、注意が必要です。
この記事では、主に「花茎」の変色について解説しますが、株元の「茎」の異常についても触れていきます。ご自身の胡蝶蘭のどの部分に問題が起きているか、まずはしっかり確認してみましょう。
花が終わって茎が枯れたのは自然な変化

胡蝶蘭の花がすべて咲き終わった後、花が付いていた「花茎」が黄色や茶色に変色し始めた場合、それは病気ではなく、ごく自然な生理現象である可能性が非常に高いです。
花を咲かせるという大役を終えた花茎は、その役割を終えて自然に枯れていきます。植物が次の成長のために、不要になった部分へのエネルギー供給を止めるためです。そのため、葉や根が元気な状態であれば、特に心配する必要はありません。
この自然な枯れの場合、花茎は先端の方から徐々に黄色くなり、時間をかけて付け根に向かって枯れ進んでいきます。慌てて何か特別な処置をする必要はなく、落ち着いて見守るのが基本です。
病気のサイン?茎が黒い場合は要注意

花茎や株元の茎が黄色ではなく、黒く変色している場合は深刻な病気のサインかもしれません。特に注意が必要なのが「軟腐病(なんぷびょう)」です。
軟腐病は細菌によって引き起こされ、感染すると植物の組織が文字通りドロドロに腐ってしまいます。以下のような症状が見られたら、すぐに対処が必要です。
- 茎が黒っぽく、水が染みたようにブヨブヨしている
- 独特の異臭がする
- 変色が急速に広がっている
軟腐病は感染力が非常に強い!
軟腐病は、水やりの際のしぶきや、ハサミなどの器具を介して他の健康な株にも簡単に感染します。感染が疑われる株は、直ちに他の植物から離れた場所に隔離してください。
この病気は進行が非常に早いため、発見次第、変色部を大きめに切除し、専用の殺菌剤を塗布するなどの処置が求められます。発見が遅れると手遅れになることも多い、非常に危険な病気です。
茎が白いのは葉焼けや乾燥の可能性

茎が黄色や黒ではなく、白っぽくカサカサになっている場合、主な原因として「葉焼け(はやけ)」や「極端な乾燥」が考えられます。
胡蝶蘭は本来、木漏れ日のような柔らかい光が当たる場所に自生している植物です。そのため、日本の夏場の強い直射日光などに長時間当たると、人間が日焼けするように、葉や花茎も焼けてしまいます。
葉焼けを起こした部分は、光合成の能力を失い、白っぽく変色してしまいます。一度葉焼けした部分が元に戻ることはありません。また、エアコンの風が直接当たるような場所に置いていると、局所的に乾燥が進み、茎が白っぽく枯れ込んでしまうこともあります。
置き場所の環境を見直すことで、これ以上の被害を防ぐことが可能です。
茎だけでなく葉が黄色くなる原因とは

茎の変色と同時に、葉も黄色くなっている場合は、株全体が弱っているサインです。葉が黄色くなる原因は多岐にわたりますが、茎のトラブルと関連が深いのは主に以下の3つです。
水のやりすぎによる「根腐れ」
最も多い原因の一つです。鉢の中が常に湿っていると根が呼吸できなくなり、腐ってしまいます。根が機能しなくなると、水分や栄養を吸収できず、下の方の古い葉から黄色くなってきます。
栄養不足
胡蝶蘭はそれほど多くの肥料を必要としませんが、長年植え替えをしていないと、植え込み材の中の栄養分が枯渇します。すると、株は体力を維持できず、葉の色が薄くなったり、黄色くなったりすることがあります。
寿命
一番下にある古い葉が1枚だけ黄色くなっている場合は、自然な新陳代謝による寿命の可能性があります。この場合は、他の葉や根が元気であれば問題ありません。
葉の状態は、胡蝶蘭の健康状態を示すバロメーターです。茎だけでなく、葉にも異常がないか日頃からチェックしましょう。
根腐れや凍傷など他の枯れる原因

ここまで紹介した原因以外にも、胡蝶蘭が枯れる原因はいくつか存在します。特に茎(株元)に直接ダメージを与えるのが「根腐れ」と「凍傷」です。
前述の通り、根腐れは水のやりすぎや鉢の通気性の悪さが原因で起こります。腐敗が根から株元の茎にまで進行すると、茎が茶色や黒っぽく変色し、株全体が枯死してしまいます。
胡蝶蘭の根は、もともと木に張り付いて空気に触れているもの。鉢の中が蒸れ続ける環境は、実はとても苦手なんです。
一方、凍傷は冬場の管理で注意が必要です。胡蝶蘭は熱帯原産の植物で、寒さに非常に弱いです。特に10℃以下の環境に長時間置かれると、細胞が破壊されて凍傷を起こします。凍傷になると、葉や茎がブヨブヨと水っぽくなり、やがて黒ずんで枯れてしまいます。
冬の夜間、窓際は外気で非常に冷え込むため、部屋の中央に移動させるなどの対策が不可欠です。
変色の状態 | 主な原因 | 危険度 | 主な対処法 |
---|---|---|---|
黄色・茶色 | 花の後の自然な枯れ | 低 | 枯れた花茎のカット |
黒色(ブヨブヨ) | 軟腐病(細菌感染) | 高 | 隔離、患部の切除、殺菌 |
白色(カサカサ) | 葉焼け、乾燥 | 中 | 置き場所の変更 |
葉も同時に黄色 | 根腐れ、栄養不足 | 中~高 | 水やり見直し、植え替え |
胡蝶蘭の茎が黄色になった時の対処法と育て方

- 茎だけの変色なら植え替えを検討
- 茶色い花茎はどこから切るのが正解?
- 二番花を楽しむための花茎の切り方
- 正しい水やりと置き場所で健康維持
付け根の茎だけが変色した時の処置

花茎ではなく、葉の付け根にある株元の「茎」だけが黄色や茶色に変色している場合、これは株にとって危険なサインです。
この原因の多くは、前述した「根腐れ」が進行したことによるものです。
このような状況では、まず胡蝶蘭を鉢からそっと抜き、根の状態を確認する必要があります。健康な根は白や薄緑色でハリがありますが、腐った根は黒や茶色でスカスカになっています。
植え替えによる再生手順
- 腐った根を清潔なハサミで全て切り落とす。
- 新しい植え込み材(水苔やバーク)を使って、一株ずつ新しい鉢に植え替える。
- 植え替え直後はすぐに水を与えず、1~2週間は休ませる。
たとえ根がほとんどなくなってしまっても、茎がしっかりしていれば復活の可能性は残されています。諦めずに丁寧な処置を施すことが大切です。
茶色い花茎はどこから切るのが正解?

花が終わり、自然に黄色や茶色に枯れ始めた「花茎」は、最終的に切ることをおすすめします。枯れた花茎を残しておくと、株の体力を消耗させたり、見た目が良くなかったりするためです。
最も確実で、株の体力を温存させる方法は、花茎を付け根の近くから切ることです。
使用するハサミは、病気の感染を防ぐために必ず火で炙ったり、アルコールで拭くなどして殺菌消毒してください。株元の茎を傷つけないよう、付け根から1~2cmほど残してカットするのがポイントです。
こうすることで、株は花を咲かせるのに使っていたエネルギーを、新しい葉や根を成長させるために集中させることができます。来シーズンに、より立派な花を咲かせたい場合に最適な方法と言えるでしょう。

二番花を楽しむための花茎の切り方

「まだ元気そうな花茎を切ってしまうのはもったいない」「もう一度花を楽しみたい」という方には、二番花を咲かせる方法があります。
胡蝶蘭の花茎には、いくつか「節(ふし)」と呼ばれる膨らんだ部分があります。この節には新しい花芽を出す能力が秘められています。二番花を咲かせるには、この節を残してカットします。
二番花を咲かせるカットのコツ
花茎の根元から数えて2~3番目の節を探し、その1~2cm上でカットします。株が元気であれば、カットしてから1ヶ月ほどで、残した節のすぐ下から新しい花芽が伸びてくることがあります。
二番花は株の体力を消耗します
二番花を咲かせるのは、人間でいえばマラソンを2回走るようなもの。株にとっては大きな負担となります。そのため、葉の枚数が少なかったり、株が弱っている場合にはおすすめできません。二番花を楽しんだ後は、来年に向けて株を休ませるため、花茎を根元から切り取ってあげましょう。

正しい水やりと置き場所で健康維持

胡蝶蘭の茎が黄色くなるトラブルの多くは、日々の育て方が原因です。根本的な問題を解決し、健康な状態を維持するためには、「水やり」と「置き場所」の2つの基本が非常に重要になります。
水やりの基本
胡蝶蘭の水やりは「鉢の中の植え込み材が、完全に乾いたらたっぷりと与える」のが鉄則です。表面が乾いていても、中はまだ湿っていることがよくあります。
鉢を持ち上げて軽さを確かめたり、指を入れて中の湿り気を確認する習慣をつけましょう。季節にもよりますが、目安は7~10日に1回程度です。水の与えすぎは根腐れの最大の原因なので、常に「乾かし気味」を意識してください。
置き場所の基本
置き場所は、「直射日光が当たらない、明るく風通しの良い場所」が最適です。レースのカーテン越しの窓辺などが理想的です。
強い日差しは葉焼けの原因になり、風通しが悪いと病気や害虫が発生しやすくなります。また、エアコンの風が直接当たる場所は乾燥しすぎるため避けてください。
総括:胡蝶蘭の茎が黄色でも復活できる
胡蝶蘭の茎が黄色くなっても、すぐにあきらめる必要はありません。この記事を参考に、あなたの胡蝶蘭が示すサインを正しく読み解き、適切な手入れをしてあげてください。そうすれば、きっとまた美しい花を咲かせてくれるはずです。
- 胡蝶蘭の茎と花茎は別の部位
- 花が終わった後の花茎の黄変は自然な現象
- 黒い茎は軟腐病のサインで迅速な隔離が必要
- 白い茎は葉焼けや乾燥が原因
- 葉も黄色い場合は根腐れの可能性が高い
- 株元の茎の変色は植え替えで対処する
- 枯れた花茎は付け根から切ると株の体力を温存できる
- ハサミは必ず殺菌消毒してから使用する
- 節を残して切ると二番花が咲く可能性がある
- 二番花は元気な株でないと負担が大きい
- 水やりは植え込み材が完全に乾いてから
- 常に乾かし気味の管理を心がける
- 置き場所はレースカーテン越しの明るい場所が最適
- 直射日光とエアコンの風は避ける
- 胡蝶蘭の茎が黄色くなっても原因を特定し正しく対処すれば復活は可能
胡蝶蘭100万円の価値と値段の理由|シーン別の値段と相場を紹介