胡蝶蘭の葉がしわしわに!原因と復活の手順を解説


胡蝶蘭の葉がしわしわになってしまった。どうして?どうすればいいの?
大切に育てている胡蝶蘭の葉に、ある日突然ハリがなくなり、しわしわになっているのを見つけて戸惑っていませんか。特に手入れが難しいとされる冬の時期は、些細なことで株が弱ってしまうこともあります。
根が腐ることで起きる症状なのか、葉の変色は葉の病気のサインなのか、不安になりますよね。中には、砂糖水で応急処置ができるという話を聞いたことがあるかもしれません。もし葉が全て落ちた状態になってしまったら、もう手遅れなのでしょうか。
傷んだ部分を切るべきか、どうすれば復活するのか、悩む点は尽きません。この記事では、そんなお悩みを解決するために、胡蝶蘭の葉がしわしわになる原因の特定から、具体的な対処法、そして再発させないための予防策まで、一連の手順を分かりやすく解説します。
- 葉がしわしわになる根本的な原因
- 症状に合わせた対処法と使うべき園芸用品
- 弱ってしまった株を復活させる手順
- 日常的に行うしわを防ぐ正しい管理方法
胡蝶蘭の葉がしわしわになる主な原因

- まずは胡蝶蘭の健康状態を確認
- 根が腐る「根腐れ」が原因かも
- 葉の変色は病気のサイン?
- 冬の乾燥や低温も一因に
- 葉の病気は画像でチェックしよう
まずは胡蝶蘭の健康状態を確認

胡蝶蘭の葉がしわしわになっていることに気づいたら、まずは株全体の健康状態をチェックすることが大切です。葉の状態は、胡蝶蘭が発している健康のバロメーターと言えます。
健康な胡蝶蘭の葉は、濃い緑色で、触ると肉厚でしっかりとしたハリとツヤがあります。また、葉は株の中心から上向きに伸びていくのが正常な状態です。これらの特徴が見られない場合、何らかのトラブルを抱えているサインかもしれません。
【健康な胡蝶蘭のチェックリスト】
以下の項目に当てはまるか、ご自身の胡蝶蘭を観察してみてください。
- 葉の色が濃く、ツヤがあるか
- 葉に厚みとハリがあり、上を向いているか
- 根元に近い下葉以外の葉が黄色や茶色に変色していないか
- 鉢の外に出ている根が、白や緑色でみずみずしいか
もし、葉にしわが寄っているだけでなく、全体的に元気がなく垂れ下がっている、色が薄いなどの症状が見られる場合は、水やりや置き場所の環境に原因がある可能性が高いです。
根が腐る「根腐れ」が原因かも

胡蝶蘭の葉がしわしわになる原因として非常に多いのが、根が腐る「根腐れ」です。これは、水をやりすぎたり、鉢内の通気性が悪かったりすることで、根が常に湿った状態になり、呼吸ができずに文字通り腐ってしまう状態を指します。
根が腐ると、水分や養分を葉に送ることができなくなるため、結果として葉が水分不足に陥り、しわしわになってしまうのです。水をあげているのに葉の状態が改善しない場合は、この根腐れを疑ってみましょう。
根腐れを起こしている根は、健康な緑色や白色の根とは異なり、黒や茶色に変色し、触るとブヨブヨしていたり、スカスカで簡単に崩れたりします。植え込み材からカビのような嫌な臭いがすることもあります。
葉の変色は病気のサイン?

葉のしわに加えて、葉の変色が見られる場合は、単なる水分トラブルではなく、病気の可能性も考えられます。
最も下の葉(下葉)が1枚だけ黄色くなり、自然に落ちるのは、多くの場合、新しい葉へ栄養を譲るための自然な新陳代謝なので心配はいりません。しかし、それ以外の葉が黄色くなったり、斑点が出たりするのは注意が必要です。
葉焼けによる変色
強い直射日光に当たると、葉が「葉焼け」を起こし、白っぽくなったり、黄色や茶色に変色したりします。進行するとその部分が乾燥してパリパリになったり、黒く焦げたようになったりすることもあります。
病気による変色
カビや細菌が原因で、葉に様々な色の斑点が現れることがあります。茶色や黒の斑点ができ、徐々に広がる「炭そ病」や、水が染みたような斑点ができて腐敗し、悪臭を放つ「軟腐病」などが代表的です。これらの病気は、葉のしわと同時に発生することも少なくありません。

冬の乾燥や低温も一因に
特に冬の時期は、胡蝶蘭にとって過酷な環境になりがちで、葉がしわしわになる原因が潜んでいます。
胡蝶蘭は元々、熱帯地域の暖かい場所に自生する植物です。このため、寒さには非常に弱い性質を持っています。室温が10℃を下回るような環境に長時間置かれると、「低温障害」を起こして株が弱り、葉のハリが失われることがあります。
冬場は、人間が快適に過ごせるリビングなどに置くのが基本です。しかし、夜間や早朝は窓際が外気でかなり冷え込むので、夜の間だけ部屋の中央に移動させるなどの工夫が必要ですよ。
また、暖房の使用による空気の乾燥も大きな原因です。エアコンの風が直接当たると、葉の水分が急激に奪われてしまい、しわしわになりやすくなります。冬は水やりの頻度が減るため、乾燥と水不足が重なって症状が出やすいのです。
葉の病気は画像でチェックしよう

葉の変色や斑点から病気が疑われる場合は、症状を正しく見極めることが重要です。胡蝶蘭がかかりやすい病気には特徴的な見た目があるため、葉の病気は画像で検索し、ご自身の株の状態と比較することをおすすめします。
ここでは、代表的な病気とその症状をまとめました。疑わしい症状が見られたら、早急な対処が必要です。
病名 | 主な症状 | 原因 |
---|---|---|
軟腐病(なんぷびょう) | 淡い黄色の水浸状の斑点ができ、急速に拡大。ブヨブヨに腐敗し、強い異臭を放つ。 | 細菌。高温多湿を好み、感染力が非常に強い。 |
炭そ病(たんそびょう) | 淡褐色の斑点ができ、次第に黒く大きくなる。病斑部はややへこむ。 | カビ。葉焼けなどで弱った部分から感染しやすい。 |
灰色かび病 | 主に花に発生。水滴がついたような褐色の小さな斑点ができ、やがて灰色のカビに覆われる。 | カビ。低温多湿の環境で発生しやすい。 |
褐斑細菌病(かっぱんさいきんびょう) | 葉に水浸状の斑点ができ、黄色から褐色、黒色へと変化しながら拡大する。 | 細菌。軟腐病と似ているが、進行は比較的緩やか。 |
これらの病気は、放置すると株全体に広がり、枯死に至る危険なものです。見つけ次第、感染した部分を速やかに取り除く必要があります。
胡蝶蘭の葉がしわしわになった時の対処法

- 傷んだ根や葉を切る処置方法
- 砂糖水パックで応急処置
- 諦めないで!復活させる方法
- 葉が全て落ちた株の管理方法
- 普段の管理でしわしわを予防
傷んだ根や葉を切る処置方法

根腐れや病気が原因の場合、傷んだ部分を切るという外科的な処置が必要になります。放置しても自然に治ることはなく、むしろ健康な部分にまで被害が拡大してしまうため、勇気をもって作業を行いましょう。
根腐れの処置
- 胡蝶蘭を鉢から優しく引き抜きます。
- 根に絡みついた古い植え込み材(水苔やバーク)を丁寧に取り除きます。
- 黒く変色したり、ブヨブヨしたりしている腐った根を、消毒したハサミで全て切り落とします。健康な根を傷つけないよう注意しましょう。
- 風通しの良い日陰で根を半日ほど乾かした後、新しい植え込み材と鉢で植え替えます。
病葉の処置
病気で変色・腐敗した葉は、その部分を大きめに切り取ります。病斑の周囲5mm〜1cmほど、健康に見える部分も含めて切除するのがポイントです。切り口には、殺菌剤を塗布すると二次感染を防げます。
砂糖水パックで応急処置

葉のしわが単なる水分不足や、夏の暑さによる一時的なものと考えられる場合、応急処置として砂糖水を用いたパックが有効な場合があります。
これは、胡蝶蘭が夜間に気孔を開いて呼吸する性質(CAM型光合成)を利用した方法です。夜間に糖分を含んだ水分を葉に与えることで、効率的に水分とエネルギーを吸収させ、回復を促す目的があります。
砂糖水パックのやり方
- 水1リットルに対して砂糖1グラム(約小さじ1/4)を溶かし、1000倍の砂糖水を作ります。濃度が濃すぎると逆効果なので注意してください。
- キッチンペーパーに砂糖水を染み込ませ、軽く絞ります。
- しわのある葉を、そのキッチンペーパーで優しく包みます。
- この状態で一晩置き、翌朝には必ず外します。
この方法はあくまで一時的な処置です。根本的な原因(根腐れなど)が解決されない限り、効果は限定的であると理解しておきましょう。
諦めないで!復活させる方法

株が弱っていても、適切な手当てをすれば復活させることが可能です。諦めずに丁寧なケアを続けましょう。
まず、植え替えや病葉の切除といった必要な処置を終えたら、胡蝶蘭を最適な環境に置くことが復活への第一歩です。
- 置き場所:レースのカーテン越しの柔らかな光が当たる、風通しの良い場所に置きます。直射日光やエアコンの風が直接当たる場所は避けてください。
- 水やり:植え替え直後の2週間は水やりを控え、霧吹きで葉に水分を与える「葉水」のみにします。その後は、植え込み材が完全に乾いてから、鉢底から水が流れるくらいたっぷりと与えるのが基本です。
さらに、株の回復をサポートするために、植物用の活力剤を使用するのも効果的です。
特に鉄分を補給できるタイプの活力剤は、弱った株の光合成を助け、発根を促進する効果が期待できます。
葉が全て落ちた株の管理方法

もし葉が全て落ちたとしても、すぐに諦めてはいけません。株の根本(茎)や根がまだ生きていれば、復活の可能性は残されています。
まず、株元を指で軽く押し、硬さと弾力があれば生きている証拠です。根も同様に、緑色や白色の部分が少しでも残っていれば希望はあります。
復活は長期戦と心得る
葉が全てない状態からの復活は、数ヶ月から1年以上かかることもあります。この間の管理で最も重要なのは「何もしすぎない」ことです。
水やりは植え込み材がカラカラに乾いてから、ごく少量与える程度にします。肥料は絶対に与えないでください。株に新たな負担をかけるだけです。
適切な温度(18℃〜25℃)を保ち、辛抱強く見守っていると、やがて株元から小さな新芽が出てくることがあります。この新芽が復活のサインです。
葉がない状態からの再生方法や育て方を、詳しく解説していますので、合わせて読んでみてください。

普段の管理でしわしわを予防

一度弱った胡蝶蘭を回復させるのは大変です。最も良いのは、葉がしわしわになるのを未然に防ぐことです。日頃の管理を見直し、胡蝶蘭にとって快適な環境を整えましょう。
予防のための管理ポイント
水やり:
「植え込み材が中まで完全に乾いたら、たっぷりと与える」というサイクルを徹底します。季節や環境によって乾く速さは変わるため、「〇日に1回」と決めつけず、必ず指や竹串で中の湿り気を確認する癖をつけましょう。
温度・湿度:
年間を通して18℃〜25℃を保つのが理想です。特に冬は15℃以下にならないように注意します。また、乾燥を防ぐために、霧吹きで葉水を行ったり、加湿器を使ったりするのも有効です。
通気:
空気のよどみは根腐れや病気の原因になります。窓を少し開けて空気を循環させたり、サーキュレーターを弱い風で回したりして、常に風通しを良く保ちましょう。
これらの基本的な管理を丁寧に行うことが、胡蝶蘭を健康に保ち、美しい花を長く楽しむための最大の秘訣です。
胡蝶蘭の葉がしわしわになる原因と対処法のまとめ
- 胡蝶蘭の葉がしわしわになる主な原因は水やり不足と根腐れ
- 水をあげても改善しない場合は根腐れの可能性が高い
- 根腐れした根は黒く変色しブヨブヨしている
- 冬の低温や暖房による乾燥も葉のしわの原因になる
- 葉の変色や斑点は葉焼けや病気のサイン
- 病気が疑われる際はネットの画像検索で症状を比較する
- 根腐れや病気の処置でハサミを使う際は必ず消毒する
- 傷んだ根や葉は健康な部分を含めて大きめに切る
- 砂糖水パックは水分不足への一時的な応急処置
- 復活には風通しの良い半日陰の環境が不可欠
- 植え替え直後の水やりは控え葉水を中心に行う
- 葉が全て落ちても株元と根が生きていれば復活の可能性がある
- 予防の基本は水やり・温度・通気の3つの管理
- 水やりは「乾いたらたっぷり」のサイクルを守る
- 日常的な観察がトラブルの早期発見につながる