パンジー

【パンジーは多年草?】植えっぱなしで毎年咲かせる2つの方法

【パンジーは多年草?】植えっぱなしで毎年咲かせる2つの方法
naoko

ガーデニングで人気のパンジーは多年草なのか、気になったことはありませんか。秋から春まで長く楽しめるパンジーを、できれば植えっぱなしにして毎年咲かせたいと考える方も多いでしょう。

実際、ほったらかしで夏を越せるのか、花が咲き終わったらどうすれば良いのか、種取りは可能なのか、など疑問は尽きません。また、よく似たビオラとの多年草や一年草の扱いの違いや、丈夫で育てやすいと評判のよく咲くスミレが多年草であるという話も耳にします。

この記事では、パンジーが多年草かどうかという疑問に答え、長く楽しむための育て方のコツを詳しく解説します。

記事のポイント
  • パンジーが多年草か一年草か分かる
  • 植えっぱなしで夏越しできるか分かる
  • 咲き終わった後の手入れ方法
  • パンジーの種取りのコツ

パンジーは多年草?一年草として扱う理由

パンジーは多年草?一年草として扱う理由
画像イメージ:花庭
この章のポイント
  • パンジーは本来多年草に分類される
  • 日本の夏が苦手で一年草扱い
  • 植えっぱなしで夏越しはできる?
  • ほったらかしでこぼれ種は育つ?
  • 毎年咲く可能性はあるのか

パンジーは本来多年草に分類される

パンジーは本来多年草に分類される
画像イメージ:花庭

結論から言うと、パンジーは植物学上では多年草に分類されます。パンジーはスミレ科スミレ属の植物で、学名は「Viola x wittrockiana」とされています。

ヨーロッパ原産の野生種を交配して作られた園芸品種であり、本来は一度植えれば何年も花を咲かせる性質を持っているのです。

原産地であるヨーロッパの冷涼な気候のもとでは、問題なく夏を越して翌年も開花します。この性質だけを見れば、パンジーが多年草であることは間違いありません。しかし、日本の多くの地域では異なる扱いを受けているのが現状です。

豆知識:パンジーの名前の由来

パンジーの名前は、フランス語の「pensée(パンセ)」、つまり「思想」や「もの思い」に由来します。

花の模様が人が物思いにふけっている横顔に見えることから名付けられたと言われています。どことなく愛嬌のある花の表情は、名前の由来を知るとまた違った趣を感じられますね。

日本の夏が苦手で一年草扱い

日本の夏が苦手で一年草扱い
画像イメージ:花庭

本来は多年草であるパンジーが、なぜ日本では一年草として扱われるのでしょうか。その理由は、日本の夏の気候にあります。

パンジーの生育に適した温度は5℃から20℃程度とされており、高温多湿な環境を極端に苦手とします。梅雨の長雨による多湿や、30℃を超える真夏の猛暑はパンジーにとって非常に過酷な環境です。

このような状況では、根が蒸れて腐ってしまったり(根腐れ)、株全体が弱って病気にかかりやすくなったりして、多くの場合、夏を越せずに枯れてしまいます。

このため、園芸店では「耐寒性一年草」として販売され、秋に植えて春まで花を楽しみ、夏前には片付けるのが一般的なサイクルとして定着しているのです。

一年草として割り切るメリット

夏越しに挑戦するのも園芸の楽しみの一つですが、一年草として割り切ることで得られるメリットもあります。毎年秋には新しい品種や好きな色の苗を選び直すことができ、常に美しい状態で花壇を維持できます。

また、連作障害のリスクを避けるためにも、夏の間は土を休ませてリフレッシュさせる良い機会になります。

植えっぱなしで夏越しはできる?

植えっぱなしで夏越しはできる?
画像イメージ:花庭

「それなら、工夫すれば夏越しも可能なのでは?」と考える方もいるでしょう。結論として、パンジーの夏越しは不可能ではありませんが、非常に難しいと言えます。

もし夏越しに挑戦するのであれば、いくつかのポイントを押さえる必要があります。

まず、梅雨に入る前に、株全体の風通しを良くするために「切り戻し」を行います。伸びすぎた茎を株元から半分〜3分の1程度の高さまで大胆にカットしましょう。これにより、株の蒸れを防ぎ、体力の消耗を抑える効果が期待できます。

次に重要なのが、置き場所の管理です。鉢植えの場合は、夏の間は直射日光が当たらない、できるだけ涼しい半日陰や明るい日陰に移動させます。雨が直接当たらない軒下などが理想的です。地植えの場合は、あらかじめ夏に日陰になるような落葉樹の根元などに植えておくと良いでしょう。

水やりは、土の表面が乾いたら与える程度にし、過湿にならないよう注意が必要です。夏場は生育が停滞するため、肥料は与えません。

夏越しは難易度が高いですが、成功すれば秋に再び芽吹き、花を咲かせてくれます。ただ、夏を越した株は勢いが衰え、花が小さくなったり、花数が減ったりすることも少なくありません。

ほったらかしでこぼれ種は育つ?

ほったらかしでこぼれ種は育つ?
画像イメージ:花庭

咲き終わった花をそのままにしておくと、種ができます。その種が自然に地面に落ちて、翌年発芽する「こぼれ種」を期待する方もいるかもしれません。

パンジーもこぼれ種から発芽する可能性はあります。特に、株元に落ちた種が、夏の強い日差しや乾燥から守られれば、秋になって涼しくなった頃に芽を出すことがあります。ほったらかしでも、条件が揃えば自然に増える楽しみがあるのです。

ただし、これには注意点もあります。現在流通しているパンジーの多くは、異なる性質の親を掛け合わせたF1品種(一代交配種)です。

そのため、こぼれ種から育った株は、親と全く同じ色や形の美しい花が咲くとは限りません。時には、原種に近い小さな花(先祖返り)が咲くこともあり、それはそれで自然な風情として楽しむこともできます。

パンジーよりも花の小さいビオラの方が、原種に近い性質を持っているためか、こぼれ種で増えやすい傾向があります。庭のあちこちから、思わぬ場所で可愛らしい花を咲かせてくれることもあり、ナチュラルガーデンを目指す方にはおすすめです。

毎年咲く可能性はあるのか

毎年咲く可能性はあるのか
画像イメージ:花庭

ここまで解説してきたことをまとめると、パンジーが毎年咲く可能性はあるが、そのためにはいくつかのハードルを越える必要があるということになります。

毎年咲かせるための主な方法は2つです。

  1. 株を夏越しさせる方法
    前述の通り、切り戻しや場所の管理を徹底して、株そのものを夏越しさせます。冷涼な地域や、管理に適した環境があれば成功の可能性は高まります。
  2. こぼれ種から育てる方法
    意図的に花がらを残して種を落とさせ、自然発芽を待ちます。こちらは手間がかからない一方、確実に発芽する保証はなく、咲く花も親と同じとは限りません。

どちらの方法も、園芸店で購入した苗のように、たくさんの大きな花を確実に楽しみたいという目的には向いていないかもしれません。しかし、一つの株と長く付き合ったり、自然の生命力に任せたりするのも園芸の深い楽しみ方の一つと言えるでしょう。

パンジーを多年草のように長く楽しむコツ

パンジーを多年草のように長く楽しむコツ
画像イメージ:花庭
この章のポイント
  • 花が咲き終わったら切り戻しをする
  • 来年につなぐ種取りの方法
  • ビオラは多年草?一年草扱い?
  • おすすめのよく咲くスミレは多年草

花が咲き終わったら切り戻しをする

花が咲き終わったら切り戻しをする
画像イメージ:花庭

パンジーの花は秋から春まで次々と咲き続けますが、春の終わりごろになると茎が間延びして、だらしない姿になりがちです。これを「徒長(とちょう)」と呼びます。花も小さくなり、株の勢いが落ちてきたと感じたら、「切り戻し」という作業が効果的です。

切り戻しは、株をリフレッシュさせ、再び美しい姿で花を咲かせるための大切な手入れです。特に、夏越しを目指す場合は必須の作業となります。

時期としては、本格的な梅雨に入る前の5月下旬から6月上旬が適期です。

方法は簡単で、清潔なハサミを使い、株全体の高さが半分から3分の1になるくらいの位置で、茎をバッサリとカットします。このとき、株元に新しい葉や脇芽が残るように切るのがポイントです。

少し勇気がいるかもしれませんが、思い切って行うことで、株の中心部まで日光が当たり、風通しも良くなります。

切り戻しを行うことで、新しい脇芽の成長が促され、うまくいけば初夏にもう一度花を楽しめたり、夏越しの成功率を高めたりすることができます。

開花期間中は、咲き終わってしおれた花をこまめに摘み取る「花がら摘み」も重要です。花がらを放置すると、株は種を作るために養分を使ってしまい、次の花を咲かせるエネルギーが減ってしまいます。

花がら摘みは、花茎の根元から行うのが基本です。この一手間が、長く花を楽しむための秘訣です。
より詳しい手入れ方法は、こちらの記事で解説しています。
内部リンク:パンジー(ビオラ)が咲き終わったらどうする?長く楽しむ手入れと種取り

来年につなぐ種取りの方法

来年につなぐ種取りの方法
画像イメージ:花庭

夏越しが難しい場合でも、種を採取して来年につなぐという楽しみ方があります。自分で採取した種から育てた花は、愛着もひとしおです。

種取りをしたい場合は、花がら摘みをやめて、いくつかの花をそのまま残しておきます。受粉が成功すると、花の付け根部分(子房)がぷっくりと膨らみ、実ができます。最初は下を向いている実が、熟してくるとだんだん上を向いてきます。

さやが上を向き、少し黄色っぽくなってきたら採取のタイミングです。放置すると、さやが3つに割れて勢いよく種を弾き飛ばしてしまうので、その前に採取しましょう。さやごと摘み取り、お茶パックや封筒などに入れておくと、中で自然に弾けて種が出てきます。

採取した種は、しっかりと乾燥させることが重要です。紙の上に広げて数日間、日陰で乾燥させましょう。乾燥が不十分だとカビの原因になります。

乾燥させた後は、種を紙の封筒やチャック付きの小袋に入れ、冷蔵庫の野菜室などで保管します。こうすることで、発芽能力を保ったまま秋の種まきシーズンを待つことができます。

前述の通り、F1品種の種は親と同じ花が咲くとは限りません。どんな花が咲くか分からない、というサプライズを楽しむ気持ちで挑戦してみてくださいね!

ビオラは多年草?一年草扱い?

ビオラは多年草?一年草扱い?
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パンジーとよく似た花にビオラがあります。この二つの違いは、主に花の大きさで区別されます。一般的に、花の直径が5cm以上のものをパンジー、4cm以下のものをビオラと呼ぶことが多いようです(ただし、最近は品種改良が進み、境界は曖昧になっています)。

では、ビオラの性質はどうなのでしょうか。ビオラもパンジーと同じスミレ科スミレ属の植物であり、植物学上は多年草です。

しかし、パンジーと同様に日本の高温多湿な夏が苦手なため、園芸上は一年草として扱われるのが一般的です。

ただ、パンジーに比べると、ビオラの方がやや丈夫で夏越ししやすい品種が多い傾向にあります。特に小輪系の品種は原種に近い性質を強く残しているためか、耐暑性が比較的高いものが見られます。

そのため、パンジーよりは夏越しやこぼれ種での繁殖に成功しやすいと言えるかもしれません。

パンジーもビオラも育て方は基本的に同じです。どちらを選ぶかは、花の大きさや種類の好みで決めると良いでしょう。パンジーは大輪で華やかな印象、ビオラは小輪で可憐な印象を与えます。

おすすめのよく咲くスミレは多年草

おすすめのよく咲くスミレは多年草
画像イメージ:花庭

「夏越しに挑戦するのは大変そうだけど、できれば毎年花を楽しみたい…」そんな方におすすめしたいのが、よく咲くスミレという品種シリーズです。

これは種苗会社のサカタのタネが開発した品種で、パンジーとビオラの中間くらいの大きさの花(中輪系)が特徴です。名前の通り開花性が非常に高く、たくさんの花を次々と咲かせます。

そして、この品種の最大の魅力は、パンジーやビオラに比べて耐暑性・耐寒性に優れている点です。そのため、適切な管理をすれば夏越ししやすく、多年草として育てることが比較的容易なのです。

パンジー・ビオラ・よく咲くスミレの比較

種類花の大きさ(目安)耐暑性特徴
パンジー大輪(5cm以上)弱い華やかで存在感がある。色のバリエーションが豊富。
ビオラ小輪(4cm以下)やや弱い可憐でたくさんの花が咲く。徒長しにくい。
よく咲くスミレ中輪(約4cm)比較的強い開花期間が長く、花数が多い。夏越ししやすい。

もし、多年草としてパンジーやビオラを楽しみたいと考えているのであれば、まずはこの「よく咲くスミレ」から挑戦してみてはいかがでしょうか。丈夫で育てやすいため、初心者の方にもおすすめです。

まとめ:結局パンジーは多年草なの?

  • パンジーは植物学上では多年草に分類される
  • 原産地のヨーロッパでは何年も花を咲かせる
  • 日本の高温多湿な夏が苦手なため一年草として扱われる
  • 夏越しは不可能ではないが非常に難しい
  • 夏越しには切り戻しと涼しい場所での管理が重要
  • 夏を越した株は花が小さくなることがある
  • こぼれ種で自然に発芽する可能性もある
  • F1品種のこぼれ種は親と同じ花が咲くとは限らない
  • 毎年咲かせるには夏越しさせるかこぼれ種を待つ
  • 春の終わりに切り戻しをすると株がリフレッシュする
  • 花がら摘みをやめれば種取りが可能
  • 採取した種は乾燥させて冷蔵庫で保管する
  • ビオラも同様に多年草だが一年草として扱われる
  • パンジーよりビオラの方が夏越ししやすい傾向がある
  • 夏越しに挑戦するなら「よく咲くスミレ」がおすすめ
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こんにちは、「花庭」を運営している園芸好きのさくらです。

季節の花やハーブ、野菜を育てながら、日々の小さな発見をこのブログに綴っています。

初心者さんにもわかりやすく、気軽に園芸を楽しめるような内容を目指しています。

どうぞよろしくお願いします!
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